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工務店フォーラムニュース━━━━━━
『 みんなの工務店 技術と未来 』
K-Forum ニュース No.202 (2025/9/16号)
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目次_/_/_/_/_/

1.高口教授の連載コラム
「住まいのいろは」
住まいに関わるホットな話題を、高口代表(早稲田大学 創造理工学部建築学科教授)が解説
第137回は「夏の暑さはヒートアイランドのせい?」です。

2.スタッフコラム
鈴木理事

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【1】高口教授の連載コラム
「住まいのいろは」
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第137回は「夏の暑さはヒートアイランドのせい?」です。

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先週は九州大学で建築学会の大会でした。僕が九州大学で働いていたころは、福岡の東側、箱崎というところにキャンパスがありました。しかし遅れてやってきた大学の郊外移転の波を乗り越えられず、現在は東側の糸島の丘陵にあります。魏志倭人伝に登場する「伊都国」のITOであり魏の出先機関があったところです。古代のロマンを感じます。 学会では、地球温暖化によって、これから日本がどの程度熱くなるのか、そのために建築はどのようにしなければならないのか? という研究会もあり覗いてきました。 温暖化の情報は、基本IPCCという国際的な学者の団体が様々な研究成果を整理してこんなもんだろうという情報を提供しています。その情報は地球全体について議論していて大雑把すぎるので、いわゆるダウンスケーリングという作業を行って都市別の温暖化を予測しています。

 ざっくり言うと、温暖化対策をしない、対策が中程度に進む、対策が結構進むの3種類で温暖化の程度が予測されています。東京でいえば、2100年の年平均気温が今よりそれぞれ約4K(ケルビン)、約2K、約1.5Kの上昇という予測になっています。ちなみに、地球温暖化によって平均気温はすでに1K上昇しています。一方、東京の平均気温はすでに3Kも上昇していますのが、これは温暖化による上昇に、ヒートアイランド現象が重なっているためです。夏の猛暑の報道に温暖化が原因とい
う説明がない! と不満をいう人がいますが、夏の暑さの主要因は今のところ都市化によるヒートアイランド現象です。夏が熱くなればなるほどエアコンを使うようになります。空気式のエアコンを使うと、室外機からいっそう多くの熱が出ますので家の外はますます熱くなります。負のフィードバックです。温暖化が進めばヒートアイランド現象もますます強くなることになりますが、こちらは対策の打ちようがあります。地球温暖化に対しては、日本の原因物質排出量はもはや世界の3%以下ですから対策を実施してもほぼ影響はありません。しかしヒートアイランド現象は、日本の無策によって2K上昇しているだけですので、やれば効果は大きいはずです。機械的には、太陽の熱で冷房をしたり、空気ではなく地面の熱で冷やしたりする仕組みもすでに開発済みです。ヒートアイランド対策としてもっと活用すべきだと思います。量販店で売っている空気式のエアコンとの価格差が大きいのが問題ですが、熱という汚染物質を外に撒き散らしているということを考えれば、熱にヒートアイランド税をかけるなどして、価格差を調整することも検討すべきだと思います。いずれにしても、温暖化対策はヒートアイランド対策を兼ねた対策に重点を移すべきだと思います。

 面白い分析も発表されていました。冷暖房のディグリデー(冷暖房期間における外気温と室内設定温度の差の期間積算値で、大まかな冷暖房量の指標)の将来予測で、冬は温暖化のお陰で暖かくなって暮らしやすくなり、全体としては温暖化は冷暖房ディグリデーを減らす方向です。東京では冷房と暖房のディグリデーはほぼ同じになります。現在は、暖房ディグリデーと冷房ディグリデーでは暖房が圧倒的に大きいので、暖房を減らす対策として高気密高断熱が優位ですが、日射遮蔽と通風性能も併せもつことが重要になるということです。 こういった学術の成果をどう家づくりに活かすのか? が温暖化した世界でも使われる長寿命住宅には当然求められるようになります。今はそれほど必要でないことを

ことを求めるのはそう簡単ではないのは僕でも理解できます。少なくとも、そうなったときに比較的簡単に改修できる、適応できる、というのは最低限求められる性能ではないかと思います。


【2】スタッフコラム
(鈴木理事)
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先日、能登にいくついでに富山によって県の方にTOYAMA SCOPを案内していただきました。老朽化して廃墟となっていた県職員宿舎の築50年R造の昔のアパートを移住促進と起業者向けの施設、カフェなどに再生した3棟の建物です。負の遺産となっていた建築群ですが、地元の高校生たちの再生案が建築甲子園で優勝したことをきっかけに、高校生たちの提案を実現するというプロジェクトになり、公共事業にありがちなプロセスとは別に完成させた稀有なプロジェクトです。有名建築家の設計か、公平な意見集約の観点から見るべきものの無い公共建築が生まれ続けていますが、本来、建築とは、おおくの人の思いを形にするものだと思わせてくれるものでした。

■編集後記
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朝晩が涼しくなり、ラーメンが恋しい季節です。秋はきのこやサンマを使った限定ラーメンが登場する時期。香り豊かなきのこラーメンやサンマだしの一杯は、この季節ならではの味わいです。食欲の秋にぜひラーメンで季節を感じてみてください。
(飯山)

★次回配信日 9月30日(火) 11:00予定★

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